立冬が過ぎ、銀杏落葉に彩られた杜の都です。
11月の読書会の参加者は、Oさん・Maさん・Miさん・水月あす薫さん・Kの5名。
report:K
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● Oさん
◆『失われた風景(日系カナダ漁民の記録から)』
山形孝夫:著 未来社:刊
宮城県登米市の農村を舞台にした密航事件の顛末。
明治39(1906)年9月1日、延城県牡鹿郡萩ノ浜から、一艘の帆船が沖合のもやの中に消えていった。―密航船水安丸である。
及川甚三郎を中心に、凶作による貧困を逃れ、故郷に錦を飾ることを夢みて、海をわたった83名(女性3名)の人びとの生涯。それぞれの人生を追う。
差別と闘いカナダ社会に漁民として、生きる権利をかちとっていった二世たちの姿と心を描く。宗教学者による異色のドキュメント。
カナダと宮城との関わりについては『密航船水安丸』(著:新田次郎)に詳しい。
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最近、登米市の「隠れキリシタンの里」を訪れたというOさん。
1955年に300人以上の人が洗礼を受けたことに驚いたそうです。
その地を訪ねた直後、この本との出合いがあったそうです。
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◆「あの日、マーラーが」 藤谷 治:著 朝日新聞出版:刊
2011年3月11日。
東京・錦糸町の錦糸ホールで、新世界交響楽団のコンサートが開かれようとしていた。
演目はマーラーの交響曲第5番。
14時46分、風景は一変。
震災による混乱の中、会場に向かう人たち100人。演奏会は開催された。
実話を元にしたフィクション。
⇒ 読書会参加者によって、「震災トーク」が熱く交わされました。
あの時の仙台のこと。一人一人が違う。
「語り始めたら、一人一冊の本になる」
水月あす薫さんが語られました。
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● Miさん
◆『客家(はっか)大富豪 18の金言』 甘粕 正:著 講談社:刊
東洋のユダヤ人「客家」に伝わる成功の秘伝、アジアの政財界を牛耳ってきた「客家」が大切にする人生の教訓。
伝授された著者が成功する方法を具体的に報告。
事業の成功はあくまで結果であって目的ではない。
「あなたの回りの人間を幸せにし、それによってあなた自身を幸せにする」
その方法の集大成 。
客家の18の金言(一部をご紹介)
1.運は親切をした相手の背中から来る
2.許すことを知れば運命は変えられる
3.退却は重要な才能なり
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17.「ありがとう」は必ず声に出すべし
など、18の金言が紹介されています。
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● Maさん
◆『ミステリを書く10のステップ』 野崎 六助:著 東京創元社:刊
「とにかく毎日書きなさい」
毎日、一時間でも二時間でも。
どんなにひどい環境であっても、
書く時間を確保することだ。
つまり、あなたも一時間で、三枚から五枚は書けるということだ。
一日に三枚書けば、十日で三十枚になる。二十五日の稼動の計算で、七十五枚になる。
コリン・デクスターは言っている。
小説の書き方を教える人が、
「下らないものを山ほど書くように勧めないことは正しくない」と。
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● 水月あす薫さん
◆『乱歩賞作家 黒の謎』講談社文庫
(鳴海章・桐野夏生・野沢尚・三浦明博・赤井三尋)
「花男」鳴海章
江戸川乱歩賞作家
「妻・息子と三人暮らしの主人公の男
息子は妻の連れ子。決してうまくいっていないわけではないが、
家族になるために、人には言えない苦労がある。
だが本当の彼の苦悩は、かつて妻との間に出来た子供が、
人の形にならずに、流れてしまった過去だった。
泣いて謝る妻に、また生んでほしいと言えない男。
男には確信があった。
失った子供が、いつか還ってくると。
そして思わぬ形で、その邂逅が。」
かつて不条理、アングラが好まれ、
唐十郎や寺山修司が持て囃された時代があった。
彼らほどの強烈さは無いが、この現実からの不条理を思う時、
江戸川乱歩の「人間椅子」を求める作家も少なくないのだと感じた。
(水月あす薫氏write)
つづく・・・
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次回→ と き: 12月22日(火)13:30~
ところ: あったかこころねっと
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