1月「あったか読書会」より

2015年初の「あったか読書会」

 

窓から見える定禅寺のケヤキ並木は冬景色

葉っぱを全て落とした素のまんまで立っています。

 

いつもリポートしてくださるOさんが、風邪でダウンされたので

代わりにリポートいたします。・・・・ T.T

            

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Iさん

 

「経済と人間の旅」  宇沢弘文 :著 日本経済新聞社:刊 


日本経済の歩みを振り返る上で、宇沢氏を知っておく意義が大きいと思うのです。
―池上彰 
と、本の帯に書かれています。

昨年亡くなられた経済学者・宇沢弘文氏の、日本経済新聞に連載された「私の履歴書」と、日経、日本産業新聞に掲載された論考を編集し1冊の本に纏めて出版されました。

「本来は人間の幸せに貢献するはずの経済が、実はマイナスの役割しか果たしてこなかったのではないかと思うに至り、がく然とした。
経済学は人間を考えるところから始めなければいけない。
そう確信するようになった」
と本文にあります。

 宇沢氏は、研究先のアメリカから十数年ぶりに帰国し、日本の自然が破壊された風景を見て、衝撃を受けます。
・道といえば自動車優先で、人間はおっかなびっくり歩かなければならない。
・地元が「もう、いらない」と言っているのに、強権を発動してダムや堤防を無理やりつくっ て押しつける。
・そんな「人間不在」の政治、行政ばかりがまかり通る。国民の税金を費やしてである。
近代化がもたらした、地域社会の崩壊や、自然を破壊した都市のあり方を憂えた宇沢氏。

昭和天皇のおっしゃった
「経済、経済というけれど、要するに人間の心が大事だと言いたいんだね」
というお言葉に電撃的なショックを受け、目がさめた思いがしたという宇沢氏。

戦後日本を代表する知識人といわれた氏の思想は、
ローマ法王ヨハネ・パウロ2世との会話からもうかがえます。

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N.Iさん
 
「八日目の蝉」   角田 光代:著  中公文庫:刊  
 
血のつながらない親子の絆の顛末を描いたこの作品は、読書会メンバーの中にも映画を観たり、原作を読んだ人がいました。

不倫の果ての誘拐犯。
逃げて、逃げて、逃げのびたら私はあなたの母になれるのだろうか。
東京から名古屋へ。そして小豆島へ。

「食べる」ことに関する描写に注目したという N.I さん。
誘拐してきた子どもと引き離される瞬間、主人公は叫びます。
「その子、まだ朝ごはん食べてないの。」

そして、生きていく気力を失って出所してきた主人公に、
「まだ生きていける」
と感じさせたもの。
それは、  通りがかりに入った店で食べた ラーメンでした。
「食べる」「食べさせる」行為には、人の愛や気力が詰まっています。

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T さん 

「サラバ」  西 加奈子:著  小学館:刊
 
1月15日、本書の「第152回直木賞」受賞が発表されました!
 
父の海外赴任先イランで生まれたアユム。
チャーミングな母、変わりものの姉。
イラン革命の後、しばらく大阪に住んだアユムは小学生になり、今度はエジプトへ。

強烈な個性を持つ家族ゆえに、鬱屈した思いを抱えるアユムの半生が描かれています。日常生活の描写が、とても現実味があります。
 
学校のクラスで、容姿や学業成績などを基準にできるという生徒間を序列づける
「スクールカースト」。
直木賞作家の朝井リョウも「桐島、部活やめるってよ」で描いています。

 

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Mさんは、「本を読む時間がなかったけれど」

と、みんなの話に耳を傾けておられました。 

 

本の話に花が咲く! 

 

「あったか読書会」2月の日程は調整中。 

 決まり次第、お知らせいたします